針(鍼)治療の不安を解消!痛みの真実と安心の施術

針(鍼)治療の不安を解消!痛みの真実と安心の施術

針(鍼)治療の不安を解消!痛みの真実と安心の施術

今回お話する内容は

針(鍼)治療における痛みの真実と針(鍼)治療の科学的根拠、身体に鍼を刺す行為に対する恐怖心について改めて記載したいと思います。

なぜ、このタイトルにしたかというと針(鍼)の普及を行うに当たって当院でも症状が良くなった患者さんが紹介してくれる事がよくあります。

 

しかし、よく耳にするのが「針(鍼)って痛いんでしょ」「身体に鍼を刺すのがなんだかこわい」というなんだかとても痛そう、未知の恐怖などの先入観があるようです。

もう来院する前から、鍼に対する不安や痛みに関する誤解があります。

これでは、ハードルがあまりに高く、来院するのも一苦労です。そこで、その不安や誤解を解消し、安心して鍼治療を受けていただくための情報をご紹介します。

 

まず初めに、鍼が無痛であると言うことはできません。しかし、その痛みは一般的な注射やまち針とは異なり、多くの方が想像するほどのものではありません。

どのぐらい痛いかと聞かれても痛みの閾値は個人差がとてもあり、1本鍼を打っただけで「もう無理!」という方は年に数人いたりします。(今年は幸いなことにお会いしていません)

 

逆に「痛い(つらい)所に当たって気持ちいい」なんて方もいます。多くの方は治療が受けられないほど痛いとは感じていないですが、施術時に相談しながら加減したり、慣れるまでは少し鍼の本数を少なめにするなど対策しています。

初回からキッチリ必要な施術はすべて受ける方と少し様子を見ながら受ける方の半々となっています。

それでは、まず初めに当院での針(鍼)がなぜ痛みがあるのか?その種類は?を記載したいと思います。

鍼は痛くない?

多くの方が最初に感じる疑問の一つですが、実際のところ、良くない場所は個人差があれど痛みを感じているところに響く、調子のいいところに刺してもあまり違和感は感じないというのが正確な回答となります。

鍼自体の刺した時の痛みはシャープペンシルやボールペンで手のひらをツンツンしたような感覚に似ていますがほとんど感じない事も多くあり、まれに毛穴や痛点に当たると注射のような痛みがあると言われています。

そして、患部の深いところに行くと、通常感じている痛みやだるさの再現が起こります。

ここが、みなさん痛いと感じる到達点となります。

 

中国鍼の多くは、得気(患部が重い感じ、ズキンとする痛み、筋肉痛のようなだるさ、痺れるような感じ、鍼が身体に引き込まれるような感覚など)がありそれがなければ効果がないとされています。「気至有効」と中国語ではいいます。

痛みの再現有り無しが日本鍼と中国鍼のおおきな違いとなっています。

 

得気の発生する仕組み

患部の固いところに当たると患者さんが普段感じている痛みの再現が起こります。これは鍼が経絡やツボにアクセスし、治療効果を引き出すための反応であり、多くの場合、一般的な痛みとは異なります。しかし、患者様がその感覚を「痛み」と感じることもあります。

西洋医学的にお話すると、神経が筋肉に圧迫された初期の状態で、重だるさを感じたり、違和感を感じます。さらに圧迫が進むと痛みとなり、多くの方がこの状態で来院します。ここからさらに圧迫が進むと感覚がなくなりますが、知覚異常での方はほとんどお見受けしていません。

痛みや重だるさは筋肉が硬くなり神経を圧迫しているから起こるのですがこれを一般的に凝り(こり)と呼んでいます。

硬くなった筋肉はみなさん、マッサージや機械で揉んだりほぐしたりするでしょう。鍼も基本的には同じ効果があります。

常時筋肉が神経を圧迫しているので、そこを押せば筋肉の圧迫と外からの圧力により余計神経が圧迫され、重だるい感じやズーンとした感じが起こります。

また、硬くなった筋肉は神経だけでなく、血管も圧迫しているので、血流が悪くなります。血流が悪ければ酸素の巡りも悪くなり回復は遅くなったりしなかったりします。そうすることで、さらに筋肉は硬くなり、神経や血管をより圧迫し、痛みやしびれが悪化します。

 

ここで、硬くなった筋肉に鍼を刺した場合、筋肉に異物が入ってくる刺激により、収縮し、血管や神経の圧迫がより強くなるので、痛みが増します。

一般的に鍼が患部に当たり、感じるのは重だるい痛みやしびれを感じている遠隔のところに響きを感じます。これは普段から患者さんが感じている痛みやしびれであり、その再現がなければ疼痛に効果は少ないです。普段感じている痛みと同様の部分が鍼を刺すと普段以上に痛む。そうなると目標に鍼が刺さっている証拠となります。

 

 

何となく鍼を身体に刺すのがこわい

私は鍼灸師であり、もう15年ぐらいは施術をしているので感覚が一般の方と異なっていると思いますが昔鍼灸の学校に通って初めての実習で自分の太ももに鍼を刺すという授業がありました。

その時は、やっぱり痛くないかな?とか恐る恐るやったような気がします。あと予防接種もインフルエンザぐらいなら何となく不安な感じで済みますがコロナワクチンでは副反応が強くて正直もうおなか一杯です。

さて、話が少しそれましたが、鍼を刺すのが不安という事について少しでも解消出来ればと思います。

まず初めに、鍼治療の安全性とリスク

 

鍼治療の一般的なリスク

 

穿刺関連(刺した)による事故

説明:穿刺部位の誤りや深さの制御不良による事故

事故例:参考文献 [1] によれば、過去10年間で平均して年間30件の穿刺関連事故が報告されています。ほとんどは肺に鍼を刺してしまう気胸という疾患になります。つまり、上半身の施術になります。

当院での対策:中国の統計が多い鍼灸医療事故の本を読んだり、解剖学、文献を読んでいるおかげや慣れた時が一番危ないと思いつつやっているせいか過去一度も事故は起こっておりません。それと、深部に鍼を刺しても安全な技術を身につけているのでどうぞ安心してご来院ください。

 

感染症のリスク

説明:衛生管理の不備や清潔な手順の怠慢により、患者に感染が広がる事故。

事故例:参考文献 [2] によれば、感染症に関連した鍼治療の事故は年間平均で15件報告されています。

対策:当院では、一人一人個人の滅菌した鍼を使っています。また、使用する器具に関してもオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)で滅菌したものを使用しています。鍼を刺す皮膚に関しては消毒し、施術者の指は指サックをしています。これで今まで感染症の報告はありません。しかしながら、病院にある無菌室ではないので、開封したり、空気に触れたとたん大気中にある病原菌が付着する可能性があるので100%感染症のリスクはありませんとは言えません。また、夏場など汗をかいたり不衛生な手で施術部位を触るとニキビみたいになる事がまれにあります。

 

鍼の折損や折れ残り

説明:使用中に鍼が折れるか、折れかけて残ることによる事故。

事故例:過去の症例報告 [3] によれば、10年間で累積で50件の折損や折れ残りの事例が報告されています。

対策:過去は鍼が銀の鍼だったこともあり、施術効果は高いですが、折れやすいという事がありました。しかし、近年はステンレス製の鍼が中心となり、折れにくくなりました。そして、折れている鍼ですが、その多くは0.2ミリの太さが多く、大きな筋肉(股関節、腸骨筋など)に深く刺した時、しぶり鍼と呼ばれる筋肉が鍼を食っている状態で無理に引っ張って切れる事が多いです。ほかには筋肉が急に強い収縮をした際、せん断力が強く起こり、鍼が切れることがあるそうです。

当院の対策は、通常使用する中国鍼では0.3~0.4ミリの太さを中心に使っています。これにより鍼の強度は二倍以上になり切れづらく、特注鍼はしぶり鍼がしにい特徴があります。なのでそのような硬い筋肉を施術する場合はそちらをご提案させていただくこともあります。そして、抜いた際は鍼先を確認して長さが変わってないか確認しています。

また、万が一抜けにくい場合は、医療用ピンセットの用意をしています。過去10年で使用したのは一度きりです。さらに困難となった場合は救急車を呼び、外科手術で抜くという事例があったそうです。

 

参照

[1] 鍼治療事故レポート, 日本鍼灸協会, 2018.

[2] 感染症と鍼治療, 医学雑誌, 2015, 30(2), 123-135.

[3] 鍼の折損と折れ残りに関する症例報告, 鍼灸学誌, 2012, 18(4), 567-580.

 

最後に、私の鍼灸人生において周りで医療事故が数件起きています。

マッサージをした際、おばあちゃんの肋骨を折ってしまった事、鍼を肺に刺してしまった事が2件、施術後の嘔吐が1件となっています。

鍼1本あたりの確率でいうとおそらく胃カメラや大腸内視鏡検査で穿孔するぐらい珍しいのではないでしょうか。

施術後の嘔吐についてですが、これは元々朝食が食べれないくらい確か頭痛か肩こりだったと思いますが、その状態で施術をして嘔吐したという経緯があります。

 

私自身が経験した鍼の副反応は15年ほどで失神がおひとり、吐き気やふらつきが2名となっています。

これは鍼を刺したことによる血管迷走神経反射が起こってなった事とわかっていて、15分~30分ほどベッドで横になっていれば回復して問題なく帰宅しています。

 

その他、不安に対する対策

当院では、鍼の痛みに対する不安や恐怖心は事前に説明と施術中のコミュニケーションによって解消しています。

なので、施術方針も出来れば疑わしき所はすべて施術したいですが、様子を見て鍼の本数を減らしたり、必要最低限で行う場合もよくあります。その際は、効果が出づらいときもあるなどデメリットもご説明します。

また、最初のほうでお話した硬い筋肉に刺すから痛みや重だるさが起こるのであって、こりが改善していけばその筋肉に刺しても初回よりずいぶんと楽になっているはずです。

そして、中国鍼の特徴として鍼管という筒を使用しないで鍼を刺すのでチクっとした痛みがありますが、これに対し、当院では手作りで鍼管を作っているのでグサッとしたり、鋭痛はあまり起きません。

施術中は音楽と会話により意識をリラックスをさせ、少しでも痛みの軽減に努めます。

はじめはなんでも緊張します。いきなり信頼関係を作るのは難しいかもしれませんが、信頼関係があるとそれだけでも痛みは減少します。ですので、私は一生懸命説明したり、問診したりしています。

 

鍼の効果の不確実性について

鍼治療の効果が確実なものか不安かもしれません。

これらは様々な研究により医学的根拠に基づき、効果があるといえますが、自然療法なので薬のように誰でも一定の効果が確実に得られるとは限りません。しかし、自然療法なので大きな副作用はほとんどありませんし、内臓に負担がかかるようなこともありません。

 

痛みや出血の可能性

施術中に鈍痛やしびれ感、痛みの再現痛が起こる事があります。また、少量ですが出血することがあります。そして、当院の施術法では多くの方が当日~2日ほど個人差がありますが筋肉痛のような痛みが続きます。それがなくなってからが治療効果が大きく出ます。

費用の問題

すごくおおざっぱな計算になりますが、肩こりの治療で必要回数が6回だった場合4万円かからない程度、坐骨神経痛の場合、6万半ばほど、頭痛は比較的早く、2万~4万ぐらいでしょうか。

 

治療効果の持続性

一度の治療だけでなく、持続的な治療が必要な場合、その持続的な効果はどれぐらいのものなのか?

これは仕事柄発生するような腰痛や頭痛、かたこりは座る環境やモニターの位置、必要なタイミングでコルセットの着用などでその効果を延長させることができます。

さらに、症状がでなくても頻度はそれぞれ違いますが、月一回で大体安定していると思います。

 

 

 

 

 

 

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