当院の鍼灸の効果が出にくい可能性のある方の特徴
今回は当院の鍼灸の効果が出にくい可能性のある方の特徴をお伝えしたいと思います。
今までやっていて鍼の効果がでるまでに予定より時間がかかった方の特徴を記載したいと思います。
ひとつひとつ理由があり、原因もわかっているので場合によっては根気よくやらなければならない事もあります。
タイトルはそれぞれ書いておくので気になったところを読んでください。ほかの項目も読んでおくと鍼をした時の効果や理由がわかるので興味がある方は読んでみると面白いかもしれません。
①年齢によるもの
②各種薬を常用している方
③お酒や運動を止められない方
④隠れ肥満、肥満の方
⑤その他、体調や症状、天候が左右する場合
①年齢が70を過ぎたあたりから瘦せていて筋肉の量が少ない方
痛みやしびれの治癒原理は血流と関連しています。筋肉の量が不足すると、栄養を運ぶ血管の数や血液の流れに影響を及ぼします。その結果、鍼治療を行っても、血流が不足しているために治療効果が低下する可能性があります。
また、自己治癒力の低下も起こっているのでそれが原因で治癒の妨げになる事もあります。
さらに詳しく説明すると、本来は柔らかい筋肉も、運動不足や廃用性委縮の影響で徐々に筋肉量が減少していきます。筋肉のポンプ作用が機能しないと、短時間の活動でも酸素不足が発生し、疲労物質が蓄積し、筋肉は硬くなり、悪循環が生じます。
筋肉が硬くなると、筋肉が収縮していることを意味します。この収縮は電気信号が連続的に送られているためです。そして、この収縮が血管や神経を圧迫し、血液の流れが悪くなり、神経に圧迫がかかることが痛みやしびれの原因となります。
そのため、私は一般的に70歳を超えた患者さんに対して、初回の診察時に治癒の可能性が五分五分であることを伝えています。
また、2回目の来院時に症状の改善が確認される場合、一定の治療効果が期待できると考えていますが、効果がほとんど得られない場合、何度か試行錯誤を重ねても改善が見られない場合、残念ながら当院での治療の限界に達したと判断します。数回のうちにやれることは全部行って全力投球した結果です。
約4~5年前の出来事です。その年、高齢の方で足のしびれを訴える患者がいらっしゃいましたが、残念ながら彼らの症状は改善しなかったことを覚えています。
②各種薬を常時服用している方
抗うつ薬、睡眠薬、リリカカプセルなどの痛み止めを常時服用している方
これらの薬を常時服用している方は、効果が現れるまでに通常時間がかかることがあります。
理由として、このような薬は副作用として横紋筋融解と記載してあることがあり、これは筋肉を溶かすという意味があります。劇的にでなければ通常副作用として扱う事はないと思うので場合によっては徐々に身体を蝕んでいく事があるかもしれません。
筋肉の減少が問題となる理由は前述しました。
もう一つの理由として、神経系に影響を及ぼす薬が挙げられます。
神経系に影響しているという事は、鍼の効果のひとつである鍼を刺すことによって鈍痛(C繊維)が起こり、鋭い痛みをブロックする効果があるのですが、薬が痛み自体をブロックしたり、感覚をブロックしたりするのでこのような鍼の神経系に影響を与える効果に対しても作用してしまいます。
ですので、効果の感じられない痛み止めに関しては薬剤師やお医者さんに相談して量を減らしたり、中止したりすることが望ましいです。
リリカについては今まで服用していて急に飲むのを完全に中断すると痛みが増幅するという副作用がありますので、必ず医師と相談し、徐々に使用量を減らす方法を検討しましょう。
ただし、痛すぎてつらい場合は薬を飲んでからでないと動けないなんてこともあるので、その際は薬を飲んでから来院される方もいます。
薬については、鍼療法によって症状が軽減すれば、薬の量を調整することで、さらに効果を期待できるでしょう。頭痛薬の場合、鍼療法により服用がほとんど不要になることが症例として当院には多くあります。
神経の興奮を抑える薬を飲んでいる方も少し量が減ったりしているそうです。
③お酒を止められない方、運動を止められない方
当院では、治療当日はもちろん、できれば治療後三日間はアルコールの摂取を避けていただいております。
この措置の理由は、アルコールが脳を麻痺させるためです。脳が鍼の効果を感じない場合、適切な信号が送られず、一部の患者には興奮が生じることがあり、興奮すると筋肉が緊張します。
さらに、アルコール摂取後は温度感覚が鈍感になり、体温が下がることがあります。体温が下がると身体は温めようとして震えを引き起こします。この震えは筋肉の痙攣です。
寒いところにいると歯ががちがちしたことがある人はわかるかもしれませんが食いしばり、咬筋を収縮させ、震えを起こし、熱を生産します。
鍼療法で筋肉を緩めている際に、アルコールや運動によって筋肉が緊張すると治療効果が損なわれてしまいます。筋肉はできるだけ緩んでいる状態が治療の効果を高めるために重要です。
お酒と同様に、激しい運動も治療当日は避け、状況に応じて一か月ほど運動を控えることが適切な場合もあります。
運動は筋肉を収縮させ、疲労物質を生み出す傾向があります。仕事の関係で運動が避けられない場合を除いて、休養を優先することが、治療の速度を向上させる助けになります。
スポーツ選手が多く来院されていますが、あまりに調子が悪い方は身体の調子が悪いのならこの際、数週間休む事も一応提案することがあります。
ランナーズハイの状態のランナーやそれに準ずる方には、休養をとることに不安を感じる方も多く、競技力を高めたいと考えています。しかし、パフォーマンスが低下している状態で練習するよりも、十分な回復を経てから練習を再開する方が効果的であり、結果も向上することが期待されます。
しかし、心理状態からしてその不安も理解はできます。
その時は間をとったり治療効果をみながらバランスをとります。
④隠れ肥満、肥満の方
肥満の方、糖尿病患者、隠れ肥満の方にとって、鍼療法の効果が出るまで通常よりも多くの回数が必要な場合があります。
たとえ外見が普通でも、鍼を刺しても出血が全くない場合、これは筋肉が不足し、鍼が主に厚い脂肪組織ばかりに到達している可能性があり、筋肉が薄いため効果が出にくいことがあります。
継続的な鍼療法により、脂肪は減少し、奥にある筋肉も段階的に緩んで、脂肪が筋肉に置き換わる過程が始まります。
また、筋肉の萎縮で血管が圧迫されている場合や、脂肪に鍼が刺さっている量が多い場合は出血があまりにも少ないのでひとつの判断材料となります。
糖尿病はそれ自体が神経痛を発生させる可能性があり、そうなると鍼の適応かどうかは悩ましいところとなります。
当院での治療理論として、筋肉が神経や血管を圧迫し、痛みやしびれを引き起こしていると言う原則があるからです。
筋肉が悪さをしている痛みは取れても時々痛みが出たり、完全消失せず、少し症状が残ったりすることがあります。
⑤その他、天候が左右する場合や体調や病気などが影響する場合
この内容は言ったらキリがないので、言い訳にはしたくありませんが実際、施術効果は変わってくるのではないかと思う要素満載です。
①気温や環境の影響
季節の話になりますが、適なのタイミングは春と秋になります。
理由は、気温が25度以上で暑すぎない寒すぎない事が大事です。当院内はエアコンにより一定の温度を保っていますが、外出後の外気温や環境は治療に影響を及ぼすことがあります。
夏は高温で、体内の水分量が減少しやすく、筋肉の痙攣やしびれを引き起こすことがあります。そして、水分が少なくなるという事は血液がドロドロになりやすく、血液循環に影響を及ぼします。
鍼の効果を高めるために水分補給は必須です。しっかり取りましょう。
ただし、カフェインや利尿作用のある飲み物、アルコール、糖分を含む飲料は避けるべきです。代わりに、麦茶や水などを選びましょう。
冬は、寒いので震えを起こします。震えを起こすという事は筋肉の痙攣が起こるという事。筋収縮はせっかく緩めた筋肉を縮こませる事なので効果が減ります。また、寒いので服や上着、マフラー、帽子など重たい装備になりがちなのでコリを誘発することがあります。
雨の日、曇りの日、気圧が低いときも調子を崩す方が一定数いる以上、治療効果に影響を与える事は容易に想像できます。この問題はまだ解明されておらず、今後の研究が必要です。
台風や雨の日前に気圧が変化すると痛みやコリを感じる患者さんがいますが、通常、長期的な治療を受けることで段々と治癒していくので気圧に対する耐性が高まり、日常生活に影響を受けにくくなることが多いです。ただし、この適応までには時間がかかる場合もあります。
ただし、長期というからには半年ほどかかったりもっとかかったりする例もあります。
②貧血ぎみ、月経中、心疾患を患っているなど
貧血ぎみの方はそもそも、血液量が足りていない場合があります。月経中も出血しているしので同様の理由があり、さらに子宮に血液が集まるため、全身の血液が不足しがちになると考えられるからです。
心疾患や循環器系に疾患のある方は血液循環が悪い場合があります。そうすると鍼をして血液が集まり治療する効果を受けずらくなります。
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