今までの経験で、鍼(針)の効果,持続が少なかったりした事例

今までの経験で、鍼(針)の効果,持続が少なかったりした事例

今までの経験で、鍼の効果や持続が少なかったりした事例

鍼灸の適応症や施術例について、これまでは施術して改善された方々の経過や病態について説明してきましたが、当院の鍼灸にも限界があることを認識しています。個人の生活習慣や年齢、病態によって結果は大きく異なる現状があります。

一般的に、100人の患者さんのうち2~5人は効果を感じられなかったり、痛みは軽減されたもののまだ苦痛がある場合もあります。

100人の内訳についてお伝えすると、約60~70%の方が完治と判断できる程度の改善を実感され、残りの30~40%の方々は長期間の施術(数週間~数ヶ月の幅があります)受けなかったり、使い過ぎや負荷を長くかけていると、少しだるさや違和感、各種症状が軽度だが出現したりすることがある。

また、ごく一部の方々には全く成果が得られない場合もあります。

今回は、私が施術してきた中で完治しなかった方や改善度が低かった方、効果がなかった方に焦点を当ててお話ししたいと思います。

ただし、これは私自身の技術不足なども考慮されるため、鍼灸全体に一般化するものではありません。

しかしながら、こうした症状について、私がギブアップしたケースなどをお話できればと思います。

それでは、お話しましょう。

腰椎の圧迫骨折だった話

その昔、80代のおじいさんが来院しました。

腰痛で悩んでおり、朝起き上がったり動いたりすると腰が痛むとおっしゃいました。男性でありながらも年齢も考慮して、圧迫骨折の疑いもかけ、問診時に尻餅をついたり、咳やくしゃみの後から痛みが発生したか尋ねましたが、特に原因となる事柄は思い当たりませんでした。

腰椎の叩打痛もなく、骨折の兆候も見受けられなかったため、通常の腰痛と判断し施術を行いました。しかし、施術後も痛みが改善されず、変化はありませんでした。

 

鍼の最大効果は数日後に現れることが多いため、様子を見ることにしました。数日後、予定より早く再来院されましたが、お話を伺うと痛みに変化はなく、相変わらず痛みが続いているとのことでした。

やり方を変えて施術を試みましたが、依然として痛みは続き、これは異常だと感じました。

 

そこで、お世話になっている整形外科に連絡し、画像検査の予約をお願いしました。紹介状には、経緯や所見、骨に異常がある場合の処置などを記載しました。おじいさんにはそのまま病院に向かっていただきました。

後日、画像検査の結果が郵送され、腰椎の圧迫骨折があることが判明しました。整形外科では、腰椎のコルセットを装着し、痛み止めの処方も行われたようです。

 

このように、鍼療法では骨折の痛みは改善されず、急性のヘルニアに対しても効果が限定的な場合が多いことがわかりました。

一般的な腰痛には鍼療法が有効であることが多いですが、もっと早く鑑別できればよかったと思います。

また、徒手検査の正解率は7割程度と昔学校で習った事があるが、臨床でもそれぐらいだろうと考えている。

 

MRIを取ったら、狭窄症、ヘルニア、黄色靭帯硬化症だった話

40代の女性のケースです。

数ヶ月前から、起床時に痛みを感じ、立っていると強いしびれが起きて足が痛く、身動きが取れない状態になりました。

初回の病院で、レントゲンを撮った結果、腰の骨がわずかに狭くなっていると診断されました。

薬の服用もしましたが変化がなく、当院に来院されました。

当院で腰や股関節、大腿、下腿などの施術を数回行いました。結果として、約6回の施術で徐々に痛みが軽減し、起床時の激痛はなくなり、一部の痛みが残る程度で短い時間であれば立っていられるようになり、自宅での生活なら何とか対処できるようになりました。

しかしその後、症状の改善が進まず、時折、8~10回ほど施術をしたタイミングで停滞する事がある為、そのタイミングが来たかと思いましたが、期間が長いため他の要因も考えられました。

患者さん自身も、今までのつらい症状が軽減されたものの、外出する際に支障をきたすため、何とか改善したいと考えていたでしょうし、私も同様の気持ちでした。

数回にわたりさまざまな方法を試しましたが、改善傾向は見られず、現在お世話になっている整形外科にMRIの予約を取ってもらうことにしました。

その結果、腰部脊柱管狭窄症、腰部ヘルニア複数箇所、黄色靭帯硬化症といった複数の要素が腰の神経を圧迫していることがわかりました。

この診断結果に私も驚きましたが、おそらく、筋肉の緊張が変形した骨、飛び出したヘルニアに神経を押し込んで痛みやしびれを引き起こしていただけでなく、変形そのものが直接神経に触れて痛みやしびれを引き起こしていたと考えています。

今回の例では、治療や対処方法については、外科的処置が必要となる場合もあるかもしれません。患者さんが既に大きな病院に向かわれていると思いますが、次回の来院時には詳しく説明し、必要に応じて外科的なアプローチも検討してもらう予定でした。

 

今回のケースでは、症状は一部改善されましたが、厳しい結果となりました。

 

もし原因が一つであれば、完治とはいかなくても日常生活に支障がなくなり、疲労や過度の使用によって軽度の違和感やしびれなどの神経

症状が現れる場合もありますが、一般的には予後は良好となることが多くあります。

 

このような状況においても、患者さんとの連携を大切にし、最善の治療法やケアを提供していくつもりです。

耳鳴りの原因は薬の副作用だった話

50代 男性のケース

右肘の外側に痛みがあり、デスクワーク中も痛みがあるとの症状がありました。数ヶ月前よりは少し治まってきたが、芯の抜けない痛みがあるそうです。この症状は外側上顆炎、通常はテニス肘と呼ばれるものであると予想しました。予想通り、前腕と肘の施術を行った結果、2回の施術で改善が見られました。

一方、左の耳鳴りの症状も同様に数ヶ月前から発生しているとのことでした。耳鳴りに対しては首と耳の裏あたりの施術が効果的であることがありますが、時間が経過している場合や原因が複数ある場合には施術期間が長くなることもあります。

2回の施術で耳鳴りの症状が改善しなかったことから様子見は中止し、参考書や記事を読み、新たなアプローチを検討していた時に、3回目の来院で患者さんから耳鳴りの原因が今飲んでいる薬の副作用が原因と言われ、それが明らかになったのは予想外の展開でした。

耳鳴りの症状が薬の副作用によるものである場合、鍼治療は効果が期待できないかもしれません。薬の副作用は体内の化学反応や神経系に関与しているため、鍼治療の効果が及ぼす範囲外になることがあります。

しかし、薬の副作用が確認されたことで、耳鳴りの原因を特定し、薬の服用を中止することで症状が段々と治まっていったとの報告がありました。

これにより、薬の管理や副作用の監視は治療の重要な要素とわかりました。

今までは、鍼の後に起こる内出血は気にしていたので出血傾向になるワーファリンや鍼の効果を弱めると言われている痛み止め、横紋筋融解の危険があるリリカ、そのほか抗うつ薬や糖尿病などは気にしていましたがそのほかはあまり気にしていませんでした。

今後は薬の知識を増やさないといけないと考えさせられた事例でした。

 

終わりに鍼の効果の簡単な説明と必要治療回数の目安

鍼の効果は基本的に痛みの疾患に関しては、鍼を抜いた後から翌日の朝には減少していることが多いです。施術から三日後(筋肉痛が取れた後)が最大の効果を得られるタイミングとなります。

鍼の違和感や筋肉痛が和らぐと、不快感から解放され、これまで感じていた痛みも軽減されます。

しかし、症状が消えても、おすすめはその後も2〜3回の追加施術を受けることです。鍼による痛みの軽減効果は、筋肉の緊張がある状態で解消されていても、その効果が切れると再び痛みが生じることがあります。筋肉の緊張をしっかりと解消すれば、再発する可能性は低くなると考えています。もちろん、過度な使用は筋肉の緊張の原因となり得るので、適切に鍼を使用しましょう。

頭痛の場合、通常は1回から3回程度で症状が軽減または消失することが多いです。坐骨神経痛の場合は、早ければ3回から6回、一般的には12回を目安にして、症状が足のくるぶしまで広がっている場合には約15回程度の施術が必要となることが多いです。

首肩こりに関しては、個人の生活習慣や注意すべき事柄、これまでの適切な治療の有無、ストレートネックなどの要素によって大きく異なります。

早い場合は、通常3回程度で痛みやしびれがほぼなくなることが多いですが、少し緊張感が残ることもあります。長期間のこり固まった筋肉の場合は、12回程度の施術を要することもあります。

こり固まった筋肉に直接鍼を刺しても効果が得られない場合もあるため周囲の組織にもアプローチを行う必要がありますので、時間を要することがあります。また、硬くなった筋肉に鍼を刺すことは、過敏な反応を引き起こす可能性があるため、早めの対処が重要です。思い立ったら、早めにご来院ください。

 

 

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