円背について
患者さんの腰痛や首肩コリを診ていて意外と多い円背(えんぱい)。
軽度なものから結構悪そうなものまで様々だがここでは円背がなんであるか?また、その傾向や対策、施術について説明しようと思う。
まず初めに円背とはなにか ?
円背(えんぱい)とは、背骨が前屈して、背中が丸まってしまう状態のことを言います。正常な姿勢である「直立位」から、肩甲骨や胸椎、腰椎が前方に傾いてしまい、背骨の曲線が変化し、前屈した状態になります。
なるほど。ではその原因となるものはなにか?
円背の原因
円背になる原因は、様々ですが大まかに4つに分けます。
(1)姿勢の悪さ
長時間の座り仕事やスマートフォン、パソコン作業、長時間の運転や縦型のカバンを持つことなど、悪い姿勢を続けることが原因となります。
対策としては長時間同じ姿勢は避けたり、画面を見る姿勢に気を付けるなどがあります。
具体的に、ノートパソコンであれば、画面の高さを上げ、後付けキーボードで腕を上げないようにして、資料も画面と同じ高さにします。また、椅子も普通の椅子ではなく、ハイバックの椅子に可能であれば変えましょう。
悪くなる前であれば運動やストレッチ、鍼治療などでしっかり筋肉をほぐしましょう。なお、悪くなってから運動をしても悪化する事が多いので少し良くなってからがいいでしょう。
(2)筋肉の弱さ
背中や腹部の筋肉が弱いと、背骨を支える役割を果たせず、背中が丸まってしまいます。
対策は日々のトレーニングです。ジムに行くほどのものではありませんが、背中や腰のインナーマッスルを鍛えるようにしましょう。
プランクと呼ばれる体幹トレーニング(うつ伏せの姿勢から肘を90度に曲げてつき、足はつま先を立てて肩~腰骨、くるぶしを斜めに一列に並べる感じでお尻を床から離す)がいいでしょう。時間は身体が慣れるまでは数十秒~はじめ、慣れてきたら少しずつ時間を延ばすほうがよいです。
さらに、タオルやゴムバンドを使う運動で、頭の上で、タオルを長くした状態で、左右の両端を片手ずつでもちそこから頭の後ろに引いていく動作を行うと背中の筋肉を使っているのがわかります。
これでストレッチをしましょう。
(3)加齢による変化
年齢を重ねると、骨や筋肉の柔軟性が低下し、姿勢が崩れやすくなります。また、特に女性では骨粗鬆症などのリスクもあり、特に胸椎や腰椎の圧迫骨折を伴って円背(亀背)になる事があります。近年では固定装具、治療法の進化に伴い極端に丸くなる例は少なくなっていると思いますが、昔は畑仕事で起こりそのまま治療もせずだったので仰向けで寝る事が出来なるほど曲がったりしていました。
対策は日頃から柔軟やトレーニングを少しでも行う事です。また、カルシウムの摂取やそれに合わせてビタミンDも取りましょう。取るだけでなく太陽に当たる事で生成されるのでそちらも活用しましょう。
円背になると、肩こりや腰痛などの身体的な不快感や、自律神経を圧迫するので、心理的なストレスを引き起こすことがあります。また、長期間続く円背は、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの椎間板や神経の障害を引き起こす可能性があります。
患者さんを診ていると傾向としてはデスクワークの方、サーフィンをやっている方など色々いらっしゃいます。
施術の方法ですが、脊柱に沿って鍼を刺していきます。その後、大腰筋にも刺します。これはインナーマッスルの柔らかさと萎縮など改善させる為です。さらに必要に応じて脊柱も二段階で鍼を刺したり肩~首まで追加したりします。これは個人差があるので出来る範囲で行います。
写真のものは少し異なりますが二段構えで刺す時は外側からも刺しています。それでも良くなるペースが遅いようでしたら鍼を変えたり、三段構えを試みます。
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