首、肩、背中のしびれと重だるさの考えられる原因(対処可能なものとそうではないもの)
神経の圧迫
神経の圧迫
首や背中の筋肉の緊張や長時間同じ姿勢、無理な姿勢によって神経が圧迫されると、しびれや痺れを引き起こすことがあります。
頚椎神経根と呼ばれる頚椎(首の骨)から分岐する神経は、頭部、首、肩、腕の感覚や運動を支配しています。これらが圧迫されると感覚異常(皮が一枚余分にある感じ、痛み、しびれなど)
や運動障害が起こり、骨の形や椎間板の変形で、頚椎ヘルニアや頚椎管狭窄症などになり、神経の圧迫や刺激を引き起こます。
肩甲背神経は首にありますが、この神経が締め付けられると肩や肩甲間部(肩甲骨と背骨の間)に感覚異常が起こります。支配されている筋肉は、首の骨からでて、中斜角筋を通り、背中に回り、肩甲挙筋、大、小菱形筋を支配しています。
また、肩周辺には、上肢の神経が通っています。これらの神経は繋がっていて、肩から腕や手までを支配し、肩甲下筋や三角筋などが圧迫されるとしびれや痺れの原因となる神経圧迫や障害が起こることがあります。
筋肉の緊張
筋肉の緊張
長時間の不適切な姿勢や過度の筋肉の使用によって、首や背中の筋肉が緊張し、しびれや痺れを引き起こすことがあります。
年単位での肩こりや首こりは筋肉をこり固まらせ、ご自身でのストレッチでも緩和出来ない場合、治療期間が長くなる傾向にあります。それは硬くなった筋肉を柔らかくするには新しい血液が必要となりますが、固まった筋肉は血流が悪い為、なかなかすぐには良くなりません。また、年齢にもよりますが年齢が高いほど治療期間は長くなりやすいです。これは、若い世代と比べ、回復力に差があるからです。
治療をするときのターゲットとなる主な筋肉は後頭下筋群、起立筋、前斜角筋、中斜角筋、後斜角筋、肩甲挙筋、菱形筋などです。
神経障害
神経障害
神経の炎症や損傷によっても、しびれや痺れが起こることがあります。例えば、頸神経根症や四肢神経障害などが考えられます。
神経の炎症はそれが治まれば落ち着くので意外と早く良くなります。損傷は、神経は一日1ミリ再生すると言われており、損傷の具合によって、徐々に良くなっていきます。鍼で出来る事は、再生を促す事です。
この他、心疾患や糖尿病でもしびれや痛みはありますが、鑑別は難しく、また、鍼で改善させる事も難しいので当院では、対処不可としています。肩こりや上記の三つが合併している場合は、症状の緩和が可能としています。
施術例
20代 女性 デスクワークを中心とする業務
初回問診時の症状は、首から背中にかけてしびれと重だるさや張っている感じが1年ほど前から続いている。もともと肩こりは高校生ぐらいからあるそうでデスクワークの仕事を始めてから余計悪化したそう。時々頭痛もある。片頭痛持ち。
他に腰の重だるさや足のしびれも感じているが今は首背中が特にひどくそれらは強く気にならない。
1回目の施術は初めてだったので様子見をしようと思いましたが、施術しながら鍼の感じ方を聞いていると最後まで出来そうだったので首に5列(後頭下筋群、前斜角筋、中斜角筋、後斜角筋、肩甲挙筋など)と夾脊穴(背骨の中心から1~2センチ横)を使いました。
2回目問診時、まだしびれは残っているが、しびれが半分ぐらいに軽減し、片頭痛でない頭痛はなくなったそう。症状が改善しているので、施術内容の変更はせず、前回同様に行う。
3回目問診時、しびれは消失し、首肩こりも楽になった。今まで感じていたつらい所が良くなったせいか、座り過ぎによる腰痛がきになるとの事。施術内容は上半身の鍼を少し減らし、腰痛のある腰を施術箇所として増やした。
鍼の適応症 施術例に関連する記事